元出版社勤務 青木のおすすめ書籍 その4

元出版社勤務 青木のおすすめ書籍

BSAマガジン編集長の青木は、読書が趣味で普段からたくさんの本を読んでいます。今回も今まで数多くの読んできた本の中で印象的だった作品を紹介していきます。

村上春樹さんは『ノルウェイの森』や『IQ84』などで非常に有名で人気のある作家ですが、個人的に一番印象的な作品は「納屋を焼く」です。
「納屋を焼く」は『螢・納屋を焼く・その他の短編』という短編小説集に入っている短いお話です。1984年に出版された作品で37年前も前になりますが、、現代でもその面白さを感じることができます。

『螢・納屋を焼く・その他の短編』
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僕がこの作品を知ったきっかけは韓国映画の『バーニング』でした。
『バーニング』
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『バーニング』は本作品を韓国に舞台を移し映画化した作品で、カンヌ国際映画祭やアカデミー賞にもノミネートされた非常に評価の高い作品で、映画で見てみると心象描写が美しく映画の世界観に惹かれました。映画が面白かったので、原作を読んでみると、映画以上に陰鬱とした雰囲気の作品ですが、不思議と引き込まれてしまいました。ちなみに映画のストーリーと元の作品とはかなり異なっており、映画は原作を基にしたオリジナルストーリーと言っても良いかもしれません。

wikipediaより参考にあらすじを載せると、

知り合いの結婚パーティで「僕」は広告モデルをしている「彼女」と知り合い、ほどなく付きあい始めた。パントマイムが趣味の「彼女」には「僕」以外にも複数のボーイ・フレンドがいる。そのうちの1人と「僕」はたまたまあるとき食事をすることになった。大麻と酒の場でのとりとめのないやりとりの途中で、「彼女」の新しい恋人は不意にこんなことを口にする。

(小学校の頃のお芝居を思い出す「僕」)「それじゃ手袋は買えないねえ」と僕は言う。ちょっとした悪役なのだ。
「でもお母さんがすごく寒がっているんです。あかぎれもできてるんです」と子狐は言う。
「いや、駄目だね。お金をためて出直しておいで。そうすれば「時々納屋を焼くんです」と彼が言った。

彼は、実際に納屋へガソリンをかけて火をつけ焼いてしまうのが趣味だという。また近日中に辺りにある納屋を焼く予定だとも。「僕」は近所にいくつかある納屋を見回るようになったが、焼け落ちた納屋はしばらくしても見つからなかった。「彼」と再び会うと、「納屋ですか? もちろん焼きましたよ。きれいに焼きました」とはっきりと言われてしまう。焼かれた納屋はいまも見つからないが、「僕」はそれから「彼女」の姿を目にしていない。
(wikipediaより引用)

登場人物は少なく基本的に「僕」と「彼女」と「男」のみです。この3人の不思議な関係と奇妙な趣味が非常に不気味であり、”焼いたはずの納屋”と”消えてしまった彼女”がどう絡んでいるのか明らかにされることなく、不思議な余韻を残して終わっていくお話です。暗く冷たい雰囲気の話なので、読んで良い気分や明るい気分になる作品ではないですが、個人的には村上春樹さんの作品の中で、圧倒的に一番おもしろいと思った作品です。韓国映画の「バーニング」も面白い作品なので、そちらから入っても良いかもしれません。