「どうして目隠しで揃えられるの?」と訊かれたときのベストアンサー

キューバーのつぶやき

 こんにちは。BSAの青柳です。

 しばらくBSAマガジンへの記事の投稿をサボっていました。前回書いたのは「ルービックキューブ界から見たメモリースポ―ツ」という記事ですが、これが投稿されたのは2021年2月なので約9か月サボっていたことになりますね。「何を書こうかなぁ」と頭の隅っこでずっと考えていたのですが、特にアイデアの思いつくがない9か月でした。

 ですが、この季節の変わり目になってようやく書きごたえのありそうなテーマを見つけました。それがタイトルにもある通り、「『どうして目隠しで揃えられるの?』と訊かれたときのベストアンサー」です。BLDerなら誰しも

「なんで見てないのに6面揃えられるの?」

というような質問は受けたことがあるはずですが、その対処法についてはあまり取り上げられません。そこで今回は私なりにその質問に対する適切な回答を検討していこうと思います。

 なお、読者の中にはルービックキューブについてあまり詳しくない方もいらっしゃると思うので以下に基本的な用語をまとめておきます。

・BLD:ルービックキューブを見ないで揃えること。Blindfoldedの略

・BLDer:BLDが得意な人

全てのBLD用解法に共通すること

 当たり前のこととしてルービックキューブを揃えるためには、まずそのための解法を知らなければなりません。キューバは決してデタラメにパズルを回しているのではなく、「この色の並びが出てきたらこの手順を回す」というように既成の解法に則って6面を揃えています。つまり解法さえ覚えれば6面完成は誰でも可能です。

 これはBLDについても同じ。BLDにもBLD専用の解法があり、BLDerはその公式化された解法を使用しているから目隠しで揃えられるというわけです。そしてBLDにはCommutatorやOP法などというたくさんの解法がありますが、そのすべてに共通することが1つあります。
それは

特定のパーツ以外は動かない

ということです。逆にこの条件を満たしていない解法は、BLDに適しているとはいえません。それぐらい「特定のパーツ以外は動かない」という条件は重要なものといえるでしょう。

実際にBLD用の手順を回してみよう

 いきなり「BLDではね、特定のパーツしか動かないんだよ」と言われても意味不明でしょう。ですからそういう方のためにBLD用の手順を1つご用意しました。手元にルービックキューブがある方はぜひ回してみましょう。百聞は一見にしかずです。なお、前面とは自分の方に向いている面を意味します。

M2やU`などの記号は回転記号です。知らない方は気にしなくてもよいでしょう。

 一番左上に示されているパズルの状態を”状態A”、①から⑦まで順番に回す手順を”手順A”とします。このとき、状態Aから手順Aを1回実行すると6面完成するはずです。状態Aが作れないという方は上面を白、前面を赤にし、手順Aを2回実行してみてください。そうすると状態Aになりますね。

 またパズルがない方はデバイス上でルービックキューブを回すことのできるサイトがあるので、そちら(alg.cubing.net)で確認してみてください。再生ボタンを押すと手順Aが実行されます。

手順Aの解説

 上に紹介した手順Aは状態Aから6面揃えるための手順でした。これをもう一度”パーツの移動”という観点から捉えなおしてみましょう。

 状態Aから手順Aを回すと6面が揃う。ではこのとき、どのパーツがどこに移動しているでしょうか?

状態Aと6面完成状態を比較してみると、以下の3つのパーツが正しい位置へ移動しているのがわかります。

・パーツ①:白ー青のパーツ

・パーツ②:白ー緑のパーツ

・パーツ③:白ー赤のパーツ

ここまでは確認できましたか?

そしてこれはより厳密に、「上の3つのパーツしか動いていない」と説明することができます。

 以上のことを踏まえると手順Aの特徴は以下のようになります。

手順Aは”白と青のパーツ”と”白と緑のパーツ”と”白と赤のパーツ”の計3つのパーツだけを動かす手順である

これが最初の「特定のパーツ以外は動かない」という文言の意味です。

じゃあ、どうやって目隠しで揃えているんだろう

 手順Aを回すと特定のパーツしか動かないということはわかりました。では、これをどうやってBLDに応用しているのでしょうか?

 端的にいえば、手順Aと同じような手順をたくさん覚えればよいのです。つまり、「特定のパーツしか動かない」ような手順を手順Aのほかにもたくさんストックしておくのです。そうすればBLDで揃えることは十分可能です。

 多くの方が目隠しルービックキューブに対して難しそうという感想を抱いてしまう理由はおそらく「パーツの移動を完全にイメージすることができないから」でしょう。
ある状態から1つ回すと動いてほしくないパーツまで動いてしまう。2つ回すとさらにパーツがどこかよからぬ位置へ移動してしまう。一方で「BLDができる人は何手先もパーツの移動を把握しているのだろう」と考えているのだと思います。

しかし実際には、BLDerは自分の頭の中にストックしてある「特定のパーツしか動かない」ような手順のうちのいくつかを適切な順番で実行しているだけです(難しいことには変わりないのですが)。
すなわち、1つの手順を回しても自分が動かしたいと考えているパーツ以外は全く動きません。だからこそバラバラになっているキューブから6面完成までの道筋を正確に立てることができるというわけです。

「どうして目隠しで揃えられるの」と訊かれたときのベストアンサー

 説明が長くなってしまいました。ルービックキューブに慣れていない読者にとっては大変だったと思います。すみません。

 これまでの説明を踏まえて私なりのベストアンサーを発表すると

「えーとね、特定のパーツしか動かないような手順をたくさん覚えているんだよ。で、実際に崩れているキューブを見て、覚えた手順をこういう順番で実行すればいいのかなって考えて、あとはその通りにキューブを回すって感じかな。特定のパーツしか動かないんだから6面完成までの見通しが立ちやすいでしょ」

となります。もちろん、実際にキューブを回しながら説明すると一層分かりやすいかもしれませんね。

その他の回答

 以上、「『どうして目隠しで揃えられるの?』と訊かれたときのベストアンサー」をテーマに記事を書いてみました。多くのBLDerは実際にこのような質問を受けたときには自分なりの回答をされているでしょうから、この記事が特別役に立つということはないと思いますが、「BLDをこういうふうに捉えている人もいるんだなぁ」と思っていただければ幸いです。
 最後に、上に挙げた以外にも考えられる回答を並べてみました。皆さんはどう答えてますか。また直接会う機会があったらお話ししてみたいですね。

回答例

・「パーツ1つ1つにひらがなを振り分けていて、そのひらがなを文字列にして覚えて、・・・・・・」

・「最初に色の配置を覚えて、それに対応した手順を回していくんだよ。・・・・・・」

・「真ん中のパーツと角のパーツの色と配置を覚えて、・・・・」

                                     など