記憶術×資格~ITパスポート編③~

メモリーアスリートのつぶやき

「記憶術×資格~ITパスポート編~」の第3弾です。

前回で記憶術を使った勉強の進め方を以下のようにまとめました。
前回と前々回の記事を読んでいない方はそちらからご参照ください。

前々回(第1回)の記事
前回(第2回)の記事

勉強の進め方

①インプット
 教科書を章ごとに読み、順番に理解を深める。

②アウトプット
 読んだ章のみが出てくる過去問を解き、知識を定着させる。

③インプットの補助
 分からなかった所を詳しく調べたり、記憶術を使って苦手な単語の意味を覚えたりする。

④アウトプット
 間違えた部分を中心に、再度問題を解いて、知識を固めていく。

①~④を章ごとに進めていき、大分野が終わったころや全て一通り触った後

⑤インプットの補助
 目次や大項目を場所法でまとめて覚えて、脳内に単語帳を作る。

⑥アウトプット
 全分野を網羅した過去問を一通り解いてみる。

⑦インプット
 間違えた問題や苦手な章を、再度教科書を読んで理解し直し、どうしても覚えられない部分は記憶術を使って覚え直す。

最後は⑥~⑦を繰り返し行って、試験当日に臨む、という流れです。

当たり前のように見えて実は大事な①と②の部分まで前回はお伝えしましたね。

今回は記憶術をメインで使う③インプットの補助について説明します。


③インプットの補助

②のアウトプットで問題を解いた後は何をすれば良いのでしょうか?

すぐ次の範囲のインプットに移ってしまっては、せっかくのアウトプットの効果も半減してしまいます。自分が間違えてしまったところや、覚えにくいと思った箇所をより強固にしていくことで、知識の定着度が格段に上がります。

ここでようやく記憶術の出番です。
事前に立てていた戦略をもとに、「覚えられなかったものに対して自分が使える記憶術を使って覚えやすく加工する」作業を行います。

鉄則として、「理由や背景があるものは、それを調べることが最も記憶に残りやすい」というものがあります。
まずは分からなかった問題や用語に関して、意味は無いか、背景は無いか、語源は無いか、などをテキストやインターネットで調べてみましょう。

例えば、テクノロジ系のハードウェアで出てくる「キャッシュメモリ」に関して、ただテキストの「キャッシュメモリはCPUと主記憶の間に配置されている」という文章だけを丸暗記するのは難しいですよね。
この用語が覚えられないなと思ったら、まずは「なぜキャッシュメモリが必要とされたのか?」という背景を分かる範囲で調べてみましょう。

調べてみると、
「CPUを高速にすればするほど、主記憶の転送速度に追いつけなくなり、処理能力が発揮しきれないため、参照頻度の高いデータを読み込んでおくキャッシュメモリが必要となったとあります。」
こういう風に背景を知ると、想起がしやすくなるのです。

また、これだけでなく、「キャッシュ」という語源も調べてみましょう。
すると、実は現金を意味する「cash」ではなく、「隠し場所」や「貯蔵所」を意味する「cache」が語源であることが分かりました。これによって、「キャッシュ」は貯蔵所が語源だから、その名の通り参照頻度の高いデータを貯蔵しておくのか、と思い出しやすくなりますね。
もし「cache」の意味を知らなくても、「実は現金が語源じゃないのか」と意外に思うだけで十分記憶の効果があります。これも立派な記憶術の活用だと思います。

このように分からないものに対して背景や意味を知ることは非常に記憶の助けになります。
そして、このように複数のアプローチを用いて覚える、ということもとても効果的です。
記憶の用語で言えば「トリガーを増やす」ということです。

トリガーとは思い出すきっかけのことです。1つの事象に対して、思い出すきっかけは1つでなくても構いません。むしろ、多ければ多いほど想起できる確率は高まります。

例えばメモリースポーツで人の顔と名前を覚えるとき、「メガネをかけた男の子」が「キリルー」という名前であることを覚えるとします。
もしこれが記憶時間1分しかないMemory Leagueのような形式では、スピードを重視するので、「メガネをかけてキリっとしているがカレーのルーを食べたがっている」という1つのイメージだけを付けて記憶するでしょう。
しかし、これがテレビ番組の企画で制限時間30分だとすれば、絶対に思い出さなければいけないので、先ほどのイメージに加え「東欧の雰囲気ではないけれどキリル文字を読めるんだな」という別のイメージも付与していきます。さらに場所法を用いて場所にそのイメージを置くことで、どんなことがあってもいずれかのトリガーが引っかかって思い出せるようにしておきます。

少し話が逸れましたが、先ほどの例で言うと、「キャッシュメモリが必要な背景」という最も記憶に残りやすい意味を調べた上で、「キャッシュ」自体の語源も調べたことで、2つのトリガーを手に入れました。
そして、今後新たな用語を勉強していてキャッシュが出てくれば、さらにトリガーが増えてくることになるでしょう。

覚えたいもの同士が結びつき、一つの軸によって整理されたり、ネットワークのように有機的な繋がりを持ったりすれば、相当強固な記憶になります。1つのことを思い出すだけで芋づる式に想起されるからです。

よく、1つのものに対して複数の覚え方や情報を調べると容量オーバーのように感じてしまう、という方がいますが、全くそんなことは無いので、まずはこのイメージを取っ払ってください。
自身が思っている以上に脳はたくさんのことを覚えられますし、1対1の無意味な丸暗記を増やしていくのではなく、トリガーを増やしたり、有機的に情報を繋げたりしていくことはむしろ覚えやすくなる手助けとなります。

では資格試験の1つの情報に対していくつのトリガーを付ければ良いか?ということですが、それはかけられる時間と、その情報の重要性によって変わってきます。
勉強にかけられる時間があるならトリガーは多ければ多いほど良いですし、覚えたいものが試験の中で重要な単語や概念であるほど、思い出さなければいけない必要性が高いので、慎重にトリガーを付与して覚えていくべきでしょう。自分が明らかに覚えられるものであれば、トリガーは1つで十分ですしね。


さて、覚えにくいものを調べた時、意味や背景が理解できなかったり、そもそも意味などなかったりしたらどうしたら良いでしょうか?

これも記憶術の出番ですね。「無理やり意味や背景をでっちあげる」か「元から自分が持っているイメージを使う」のが効果的です。

例えば先述したキャッシュメモリの語源を調べられなかったとします。
そしたら、「キャッシュメモリは処理効率を向上させる」ということを覚えるために、無理やり「キャッシュは現金という意味だから、現金を払って能力をアップグレードさせられるんだな」と理由を作ってしまいましょう。
実際は嘘ですが、このように仮の理由を自分ででっちあげたとしても立派なトリガーになるのです。

先ほどの顔と名前の記憶の例も、全部でっちあげですしね。キリルーという名前とキリル文字を読み書きできるかは全く関係ないですよね。でもメモリースポーツの選手はこのように自分で理由をでっちあげることで、記憶に残すことができているのです。

このように、背景や意味を調べられなかったとしても、なかば強引にトリガーを付けることができました。
では、無理やりでっちあげることも難しいかたちをしている「数字」のようなものはどうやって覚えれば良いのでしょうか?

この点について、続きは次回の記事で紹介していきます。