EOの気持ち

キューバーのつぶやき

こんにちは。メモアカの青柳です。

最近は季節の変わり目ということもあり、気分が不安定になりがちな方も多いと思います。こういうときは、キューブをやりましょう。キューブを回している間は何も考えなくなります。

そんなことはさておき。今回はルービックキューブの概念「EO」について書いていこうと思います。

「EO」とはEdge Orientationの略であり、下図のように色が反転している状態を意味します1)

EO
(Edge Orientation)

EOは目隠しルービックキューブ(以降、BLD)で頻繁に登場する概念であり、BLD成功のためには必要不可欠なものとなっています。

基本的には手順「U2MU’MU’MU2M’U’M’U’M’」の暗記と「セットアップ」の理解ができていれば、BLDに登場するEOはどれも例外なく処理できます。しかし、より素早く処理する場合は少し込み入ったことを行う必要があり、そのぶん覚える手順数も多くなります2)

その膨大な手順をすべて丸暗記するのは手間と労力がかかるでしょう。そこで負担を少しでも減らすために(手順の丸暗記を極力排除するために)、EO手順の仕組みを理解する必要があります。本記事はその「EOの理解」を促すためのものとなっています。

なお本記事は、以下2つの習得ができている方を想定して書いています。何か不十分な情報があったら、それぞれに添付した記事をご参照ください。

・回転記号

記事:cube voyage

・コミュテイタ(UF-UR-FR等の表記の意味と手順の構造を知っていれば大丈夫です)

記事:コミュテイターの仕組みについて

あと、下の記事も合わせて読むと少しだけ本当に少しだけ役に立つかもしれません。

1) 「EO」は文脈によって、すなわち種目によって意味が異なる。例えば3×3(開眼)におけるEOとは、エッジの特定部分の色と前面センターとの色の一致・不一致を表す概念であり、エッジパーツの反転を意味しているわけではない。本記事で取り上げる「EO」はBLDのEOであり、以降その他の意味では使用しない。

2) 2EO手順(2つのEOを処理する手順)は全部で12C2=66個。

EO手順の共通点

これからは本題であるEO手順の仕組みを解説していきます。なお、手順全てをここで取り上げることは不可能なので、UF3)が絡むもののみ4)の解説となります。EO手順は汎用性が高いので、ここで紹介する考え方はUFが絡まない手順にも応用が利くと思います。

まず、数多くあるEO手順の共通点について述べます。それは

2種類のコミュテイタ手順の組み合わせ

であるということです。つまりEO手順は、3点交換を2回分行うことでEOを処理しているのです。

例を挙げましょう。コミュテイタ手順UF-UR-BLとUF-BL-RUはそれぞれ次のような手順です。

UF-UR-BL:[U’;(R’E2R,U)]   UF-BL-RU:[SU’R;(E’,R2)]

この2つの手順を順番に実行すると、次のように配色が変化することが確認できます。

“UF”と”UR”にEOが生じていることが分かりますね。そしてEOの可逆性から、2つの手順の組み合わせ[U’;(R’E2R,U)]+[SU’R;(E’,R2)]は”UF”と”UR”のEOを処理する手順ということになります。

ただし、この手順は最適化されていない、つまりスピードという観点からは不適切です。よって皆さんが覚えるべき手順は上記のものとは別になります。ですが、「2種類のコミュテイタ手順を組み合わせる」というEO処理のフィロソフィは理解できたと思います。

3) 本記事では、UFは”位置”、UFパーツはUFに入るべき”パーツ”を意味するものとする。その他、”RF”と”RFパーツ”などについても同様。”位置”と”パーツ”。この2つの概念の違いは本質的であり、ここでは明確に区別する。

4) UFが絡むEOは11個。

手順の分類

次にEO手順の分類をしていきます。UFの絡むEO手順は全部で11個。これを「コミュテイタ手順の組み合わせ方」という観点5)から整理すると、以下の2つのパターンに分類できます。

パターン1:コミュテイタ手順の単純な組み合わせから成る

パターン2:一方のコミュテイタ手順がもう一方に含まれている

これだけだと意味不明なのでもう少し詳しく説明します。

パターン1はコミュテイタ手順Aを回し終わった後にコミュテイタ手順Bを実行するEO手順。上で紹介したUF&URの手順[U’;(R’E2R,U)]+[SU’R;(E’,R2)]はパターン1ですね。

一方パターン2のEO手順は、コミュテイタ手順Aの実行を途中で中断し、コミュテイタ手順Bを回す。そしてBを回し終わった後にコミュテイタ手順Aの実行を再開するという組み合わせ方をしています。このときコミュテイタ手順Bはコミュテイタ手順Aに「含まれている」と表現します。

どちらのパターンにせよ、EO手順はキャンセルによって最適化されるケースが多いです。

UFが絡むEO手順11個をパターンごとに整理する6)と、下表のようになります。ご確認ください。

5) もちろん、何に注目するかで分類の仕方は異なる場合がある。この分類は絶対的なものではない。

6) 5)に同じ。

パターン1:コミュテイタ手順の単純な組み合わせ

パターン1とはコミュテイタ手順Aを回し終わった後にコミュテイタ手順Bを実行するEO手順です。このパターンにあてはまる手順のひとつが、UF&FRでしょう。

UF&FRの手順は以下の2つのコミュテイタ手順の単純な組み合わせとなっています。

手順A UF-RF-UL:[LE’L’,U]

手順B UF-UL-FR:[U,L’E2L]

つまり[LE’L,U]を実行したあとに、[U,L’E2L]を実行すればUF&FRに生じるEOを処理することができます。

ここで気をつけるべきことは、EOが生じていない(すなわち、無視してもよいはずの)”UL”が絡んでいるということです7)。しかし、これは全く問題ありません。というのも、UF-RF-UL:[LE’L’,U]でUFに移動してしまった(ULにある)ULパーツは、次に実行するUF-UL-FR:[U,L’E2L]によって元の位置ULに戻ってくれる8)からです。

では、キャンセルの有無はどうなっているでしょうか。

UF-RF-UL:[LE’L’,U] とUF-UL-FR:[U,L’E2L]を連結して記述すると次のように書き直すことができます。

前半「LE’L’ULEL’U’」はコミュテイタUF-RF-UL、後半「UL’E2LU’L’E2L」はコミュテイタUF-UL-FRの手順です。ここで赤で示されてる回転記号「U’」と「U」は互いに”逆”であることが分かります。よってこの2つの回転記号はキャンセルできますね。以上より、UF&FRのEO手順は次のようになります。

パターン1についてまとめると次のようになります。

・2種類のコミュテイタ手順の単純な組み合わせ

・最初のコミュテイタ手順によって余分なパーツが移動してしまうが、それは次に実行されるコミュテイタ手順によって解消される

・キャンセルによる最適化9)

なお、パターン1のEO手順は本記事の最後にまとめてあるのでそちらもご確認ください。

7) これはコミュテイタが3点交換を基本としているからである。良くも悪くも、3つのパーツを過不足なく移動させる(移動させてしまう)のがコミュテイタである。(進んだ注:そしてこれは、”特定のパーツ以外は全く動かない“というコミュテイタ最大の特徴と一致するのである。)

8) 「元の位置に戻るようにコミュテイタ手順を組み合わせた」というのが厳密には正しいのかもしれない。

9) BLDに限らず、キャンセルの有無はその手順の有用性の指標になる。最初に取り上げたUF&URのEO手順[U’;(R’E2R,U)]+[SU’R;(E’,R2)]はキャンセルが発生していない。よって有用性は低いと判断できる。

パターン2:一方のコミュテイタ手順がもう一方に含まれている

パターン2のEO手順の特徴は、コミュテイタ手順Aの実行を途中で中断しコミュテイタ手順Bを回すということです。少し面倒ですね。

UF&DFの手順はパターン2にあてはまります。さっそく確認してみましょう。

このEO手順の基本となるコミュテイタは以下の通りです。

手順A UF-DF-UL:[R’FR;(S,R’F2R)]

手順B LF-RF-RB:[R2,E]

2番目のコミュテイタ手順LF-RF-RBにUFは絡んでいない10)ということに注意してください。

今回の場合、UF-DF-ULの実行途中にLF-RF-RBを挿入すればUF&DFのEOを処理することができます。

では、どのタイミングでLF-RF-RBを実行すればよいでしょうか。

手順A UF-DF-UL:[R’FR;(S,R’F2R)]は次のような回転記号の羅列と一致します。

結論からいうとUF&DFのEOを処理したい場合は、矢印で示したF2とRの間に手順Bを入れ込めばうまくいきます。実際にR’FRSR’F2/R2ER2E’/RS’R’F2RR’F’Rを実行すると、UF&DFのEOを処理できることが分かります。

なぜこのタイミングでLF-RF-RBを実行するのでしょうか。

それは手順A UF-DF-ULによって移動する3つのパーツが、位置LB,RF,RBにきているからです。この3つの位置は手順B LB-RF-RBの影響を受けます。

もう少し詳しく説明しましょう。

まず、UF&DFにEOがある状態からUF-DF-UL手順を(最初から最後まで)実行します。するとULパーツとFDパーツ、そしてFUパーツが移動することがわかります。

次にUF&DFのEO手順R’FRSR’F2/R2ER2E’/RS’R’F2RR’F’Rを実行してみましょう。上の矢印で示したタイミングでパズルの配色を確認すると、3つのパーツ(ULパーツ、FDパーツ、FUパーツ)がそれぞれ位置LF,RF,RBにあることが分かります。よってこのタイミングでLB-RF-RBの手順を実行すれば、上記の3つのパーツしか動かない11)ということになりますね。そしてこの手順の実行後に、一度中断していた手順 UF-DF-ULの実行を再開すれば、UF&DFのEOが処理できることになります12)(下図)。

〇:ULパーツ △:FDパーツ ×:FUパーツ

なお、上に挙げたEO手順R’FRSR’F2R2ER2E’RS’R’F2RR’F’Rはキャンセルできます。よって最適化した手順は以下のようになります。

パターン2についてまとめると次のようになります。

・一方のコミュテイタの実行途中で別のコミュテイタを実行する。

・2つのコミュテイタ手順はどちらも同じパーツを動かしている。よって一方のコミュテイタの実行途中に別のコミュテイタを実行しても問題ない

10) “UFは絡んでいない”という箇所に疑問をもった方もいるかもしれない。というのも、本記事では”UFの絡む”EO手順のみを紹介すると前述したからである。しかし、ここでの”UFは絡んでいない”とは、あくまでもEO手順を構成するコミュテイタの話であり、EO手順そのものではない。

11) “3つのパーツしか動かない”ということが重要。なぜならこれは7)で述べた、コミュテイタ最大の特徴と一致するからである。

12) 手順UF-DF-ULと手順LF-RF-RBはともにULパーツ、FDパーツ、FUパーツのみを動かす。「動かすパーツを制限することで、EOとは関係ないパーツへの干渉をできる限り避けよう」というのが、(パターン1でもパターン2でも)EO手順の根底にある信念の1つである。(進んだ注:この信念が質の高いEO手順の発見につながると筆者は考えている。そしてそれを可能にするのが“特定のパーツしか動かない”という性質をもつコミュテイタの存在なのである。見事!)

まとめ

お疲れさまでした。少し難しかったですね。あと長い。

最後にUFの絡むEO手順11個を全部紹介しておきます。参考にしてください。