ルービックキューブ界から見たメモリースポーツ

キューバーのつぶやき

 今現在(2021年1月時点)、ルービックキューブの界隈に「メモリースポーツ」という概念が浸透しています。日本のキュービストの中にはルービックキューブだけではなくメモリースポーツでも活躍されている方がいらっしゃいますし、反対にメモリースポーツ選手がルービックキューブを始めるということも今では起こっています。

 このような現象は僕がスピードキューブを始めた頃(2013年)には全くありませんでした。これは記憶と深い関係のあるBLD界でも同じでした。

 しかし、2019年になって初めてルービックキューブの中にメモリースポーツの考え方が取り入れられるようになりました。きっかけは同年3月31日に行われた交流会です。その交流会は日本のBLD界で高い実力を持つ選手たちと、メモリースポーツ界の最前線で活躍されている青木さんと平田さんが互いの知見を交換しあうというものでした。設けられた時間は2時間ほどでしたが、そこでは非常に有益な情報を得ることができました。僕は夢中になりすぎて終電を逃しました。

 まず、ストーリーのイメージ化は当時のBLD界には普及していない知見でした。BLDerの多くはストーリー法を用いるとき、文章をつくることで記憶作業を行っていました。しかし青木さんと平田さんはそのやり方の限界を指摘されていました。「メモリースポーツのトップ層はイメージを大事にしている」と。文字主体ではなく、イメージ主体のストーリー法にすることで記憶スピード、定着率ともに上がるということです。実は私自身はこの交流会の前から「イメージ化」の大切さはわかっていたし実践していました。しかしメモリースポーツで活躍している方々の言葉で、より一層自分のやり方に確信を持つようになりました。

 さらに、記憶術の基本である場所法の作り方まで教えてくれました。おそらくBLDerのほとんどが場所法こそ実践しているものの、どういう風に場所を設定すると良いのかまでは知らなかったでしょう。しかし、青木さんは場所法をつくる際は以下の3ポイントに気を付けると良いとおっしゃっていました。

①場所に高低差をつける

②場所のたどり方は時計周りか反時計周りのどちらかで固定する

③自分で設定した場所に対してデフォルメをする

もう目から鱗です。

 以上のようなメモリースポーツの知見がBLDに持ち込まれてから、BLDerの考え方も大きく変わったと思います。交流会をきっかけに記憶方法を見直すBLDerもでてきたことはもちろん、最初に書いたようにメモリースポーツを練習することでBLDの実力の向上を目指すキューバ―も現れるようになりました。実際、日本のBLDのレベルは大きく上がっています。3BLDだけではなく4・5BLD、MBLDでもどんどん実力ある選手が誕生していますし、これからの選手全体のレベル向上も見込まれます。これはBLDについてのコンテンツが増えたということだけではなく、メモリースポーツが浸透したことによるキューバ―の考え方の転換も要因にあるでしょう。

 ルービックキューブとメモリースポーツの関係について長々と書いてきました。長くなってしまいましたが、僕が言いたいのはこういうことです。

「やっぱり、違う分野と接することは大事だね」

 これに尽きます。陸上選手が陸上の練習さえしてればいいかというとそうではないですよね。自分のフォームを客観的に分析することも必要だし、食生活にも注意していかなければなりません。つまり、陸上以外の技術や考え方も身に着けてこそ一流の陸上選手になれるということです。これはルービックキューブについても同じでしょう。自分たちの世界だけに固執するのではなく、他の世界からも情報を仕入れてみる。こういう知識横断型の考え方が実力向上のためには重要になってくるのだと思います。

 そういう意味でメモリースポーツはルービックキューブ界のレベルを1つ押し上げてくれた存在だと僕は考えます。また何かしら情報共有の時間がとれればいいですね。コロナがおさまったら。