メモリーアスリートのつぶやき⑤「メモリースポーツは復帰しやすいのか?」

メモリーアスリートのつぶやき

初めましての方は初めまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。
メモリーアスリートの平田です。

みなさん、メモリースポーツしてますか?

毎日やっている!というアスリートの方もいれば、たまに気が向いたらやるよという方もいたり。ペースや楽しみ方は人それぞれだと思います。
中には、一度やってみたけれど続かずに終わってしまった、という方もいるかもしれません。

かくいう私も実は半年ほどお休みをしていました。

でも、最近また復活して、メモリーリーグ(オンラインでメモリースポーツをできるサービス)を始めました。

メモリーリーグのホーム画面


一度お休みしたら、「もう記憶術を使えなくなるんじゃないか」「やっていた頃のタイムに戻らなくてつまらないのではないか」と不安になる方も多いでしょう。アスリートもよく「1日練習を休めば取り戻すのに3日かかる」と言いますよね。

そこで、今回は実際にメモリースポーツをお休みし、再開した私が「メモリースポーツは復帰しやすいのか?」というテーマでつぶやこうと思います。

結論から言うと、使う記憶術の種類や競技の種目によって「元の感覚に戻る速度」は異なりますが、結果的にはどれも感覚を取り戻すことはできます。

最も復帰しやすい「顔と名前」

半年間休止した後に復帰して、一番早く元の感覚に戻ったのは「人の顔と名前」でした。メモリーリーグで言うと「Names」や「International Names」という種目になります。

International Namesの記憶画面


そもそも「人の顔と名前」は他の種目ほど効果的な記憶術が無いため、復帰しやすかったです。しかし、数回やり直せば覚える時の感覚はすぐに取り戻せた一方で、思い出すときの粘り強さは少し取り戻すのに苦労しました。

顔と名前は、思い出す手掛かりが他の種目と比べて少ないため、1度目で思い出せなければなかなか思い出すのが大変です。毎日記憶を続けていた頃は、それでもなんとか絞り出して+数人を思い出すことができていました。その感覚は何度も続けることで「絞り出すコツ」が何パターンも体に染みついていたからこそ持てていたのですが、半年ぶりにやるとこの絞り出しはほとんどできなくなっていました。


結論を言えば、「人の顔と名前」は10割までパフォーマンスを戻すには少し時間はかかりますが、9割まではすぐに戻ります。最も復帰しやすい種目と言えるでしょう。

そこそこ復帰しやすい「単語」と「イメージ」

「顔と名前」の次に戻りやすかったのが単語(Words)と、やや次点でイメージ(Images)です。
これらは「場所法」という効果的な記憶術を使っているため、「場所に置く」という感覚を取り戻さなければ元のパフォーマンスまで戻すことはできません。

Wordsの記憶画面


半年ほど場所法を使っていないと、予め持っていた場所自体も弱くなってしまいます。半年ぶりに使うとなると、まずは新たなものを記憶する以前に、そのルート内のプレイスを順番に思い出す必要があります。

よく使っていた場所であれば、数回ルートの中を順にたどっていけばプレイスは全て思い出せます。しかし、実際に単語やイメージを覚えるとなると、やはりタイムは落ちてしまいます。
場所に置く感覚は比較的取り戻しやすいのですが、場所自体を素早く移動するという感覚の方が取り戻すのに苦労しました。

頭の中で事前に場所を何度も確認するということをしないと、復帰前の6割ほどのパフォーマンスになってしまいました。記憶する前に何度も場所を繰り返したどり、スピード感覚を掴んでから行うと、8割程度には記憶できました。
単語で言うと全盛期が1分で46~50個安定していたのが、40前後くらいになりました。この後も毎日繰り返し使っていったところ、45個前後の9割の状態まで持っていくことができました。

イメージも同様です。トップスピードまではなかなか戻らなかったのですが、8割くらいのスピードには、何度も場所をたどって思い出すことで取り戻せます。
イメージに関して言えば、鮮明に場所に置かなくても、選択肢から答えを導けることが多いので、「どれだけ雑にイメージしてもギリギリ思い出せるのか」という境界を突いて覚えることがタイム短縮に必要なポイントです。

半年間のブランクがあると、そのギリギリを突く感覚が失われてしまっていました。そのため、かなりゆっくり時間をかけて、リコールが簡単すぎるくらいになってしまったり、反対にスピードを無理に出しすぎて全くリコールができなかったりということも起きました。

全盛期は、「相手の方がベストタイムが遅いから90%の確率でパーフェクトがでるくらいの精度で、全速の80%のスピードを出そう」とか「ここは攻めたいから50%の確率でパーフェクトがでるくらいの精度で、自己ベストに近いスピードで覚えよう」などの調整ができたのですが、ブランク開けだとその調整があまりできなくなっていました。ここが復帰前と後の最大の違いかなと思います。

復帰してから、色んな相手と戦うことで、この調整の感覚は掴めてきました。

最も復帰しにくい「カード」と「数字」

一番復帰に時間がかかったのがトランプ(Cards)と数字(Numbers)です。
この2つの種目は、前述した場所法という記憶術を使うのに加え、「変換」という作業も加わるため、感覚を取り戻すのに時間がかかりました。

Cardsの記憶画面


トランプや数字は、イメージのようにそのまま画像として覚えているのではなく、「ハートのA」を「灰皿」のように一度画像に変換した上で、場所に置いて覚えています。他の種目より1工程多いということですね。

そのため、変換の速度も戻さないといけないので、復帰に時間がかかります。
場所に置くという感覚は、一度感覚を掴んだことがあれば、しばらくブランクがあっても思い出せます。自転車のような感じで、しばらく乗っていなくても乗れる人はすぐ乗れるようになるというイメージです。
しかし、変換はそうは行きません。変換は無機質な物を有機的なイメージだと思い込む条件反射です。これはしばらくやっていないと、条件反射で思い浮かばず、一度思考を挟んでしまうということになってしまい、なかなか思い出せません。個人的には言語のようなものだと思っています。英語をしばらく使っていないと、すぐに思い出すのは難しいですよね。その感覚に近いです。

全盛期の時は「無意識」のレベルに持って行っていたのに、ブランクがあると「意識」に戻ってしまうんですね。「ハートのA」を見た時に、昔はそのまま「灰皿」のイメージが頭に浮かぶほど刷り込まれていたのに、今は「えーと、はいだから灰皿か」と思考を挟んでしまうようになるんです。そのためぐっとタイムは落ちてしまいます。

変換に「意識」が混ざると体感パフォーマンスは6-7割に落ちます。実際、復帰前はトランプ1組28-30秒くらいが安定していましたが、復帰後はしばらくやっても40秒前後に止まってしまいました。変換の壁を乗り越えないと、やみくもに練習してもあまり取り戻せなかったです。


そこで、しばらくは変換練習を繰り返し行って、もう一度「意識の壁を超える」ということをやりました。完全に元の状態には戻っていませんが、それに近い状態にはなったかなと思います。それでもタイムは良くて35秒とかなので、まだ少し時間がかかっちゃうなという印象です。数字も全く同じです。

ということでまとめると、復帰してから元のパフォーマンスを取り戻すまで、種目によって大きく異なってしまうということが分かりました。
顔と名前は比較的すぐ戻り、単語とイメージは場所を復習すれば戻り、カードと数字は変換の感覚をもう一度取り戻さないと戻らないです。

それでも半年休んだから取り戻すのに1年かかるほどの大変さはありませんでした。数か月あれば8-9割くらいのパフォーマンスには戻ると思います。スポーツにもよりますが、他のスポーツよりかは復帰しやすいのかなと思いました!
実際、少し活動を休止していた世界チャンピオンが久しぶりにメモリーリーグをやっているところを見ても、そんなにパフォーマンスが落ちずに戦えています。

復帰をしたときの練習のコツなのですが、やみくもに量を重ねるのではなく、
①使う場所を何度も辿る
②カードと数字の変換練習をする

と言った基礎練習に重点を置くべきです。

そうすることで効率的に復帰できると思います。

もちろん毎日継続してやっているのが良いに越したことはありませんが、人間そんなうまくはいかないものですよね。自分も一度お休みしてしまったのでよく分かります。

ただ、一度辞めてしまったからと言って、これまでの努力が無駄になることは絶対にありません。自分のタイミングで良いのでもう一回復帰してみる、というのも素敵な選択だと思います!


もし今休止している人がいれば、安心して気軽に帰ってきてみてはいかがですか?